マッチングアプリで出会った男性(25)と映画を観る約束をし、待ち合わせ場所に行ったのですが、服装がダサすぎて会った瞬間に帰りたくなりました。寒い地方なので、もう誰も半袖を着てない中、中学生が着ているTシャツみたいなのを着ていて、隣を歩くのが本当に恥ずかしかったです。
流石にドタキャンは申し訳なくて一緒に映画を観ましたが、帰宅後、何のためにお洒落して行ったんだろうと悲しくなりました。
会う前に写真を見せてもらえばよかったと思いました。また、前日急に「明日映画に行かないか」と言われ、慌てていたのと断るのが苦手な自分の性格も相まってO Kしてしまったのがよくなかったと反省しています。
マッチングアプリは最近友達に勧められて始めました。私は23歳ですが、今まで彼氏ができたことがなく、焦ってしまっていたのかもしれません。自分のことですが、正直彼氏がほしいかどうかも分かりません。「また遊びましょう」と言われ、私も時間が合えばと曖昧な返事をしてしまったのですが、服装が無理すぎてもう会いたくありません。
その方とは映画に行く以前に通話を何回かしていてすごく趣味が合うのですが、他の友達と話していた方が楽しいし、毎週通話するのが正直面倒くさいと思っています。
映画から帰って以降、メッセージが来ているのですが、無視してしまっています。ブロックも勇気が出なくてできません。偽名でやっているし、アプリの中だけなのでこのままブロックするのが賢明でしょうか。
※この相談内容はLINEのオープンチャット「見知らぬミシルの恋愛相談室」から抜粋したものです。Contents
男性の服装がダサい問題
これは自分の許容範囲との戦いである。今回の場合はよほど相手の服装が酷かったのだろう。文面からそれはよく伝わる。服装というのはその人のセンスを映し出すものだと思う。或いはその人がどれだけ自分のことを知っているかを表すものである。
ただ一つ言えるのは、ファッションに対して全く関心がなく、そこに自分のセンスを投入したことがない人もいるということだ。服装に関心がない男は服装に関するこだわりが皆無なので、女性のアドバイスを受け入れてくれやすい。隣を歩けないのであれば、隣を歩けるような服装に女性が変えてあげればいい。磨けば光る石もあるかもしれない。
ついでにもう一つ。服装がダサい男は絶望的にモテない。つまりこれは、ポジティブに捉えれば、安心感を意味する。浮気の心配がゼロであるということだ。服装に関心がない男はモテることにも関心がない。要するに、服装のダサささえ許容できれば、安心できる恋愛が実現される。だから僕は個人的に服装がダサい男を狙うのはアリだと思っている。
断れないことの弊害
断れないこと。これがこの相談者が抱える一番の問題である。そもそもなぜ人は断れないのだろうか。考えられる理由は大きく分けて2点ある。
一つは相手を傷つけることを恐れているということだ。しかし考えてほしい。確かに、断らなければその時は相手を傷つけないかもしれないが、最終的には相手に大きなダメージを与えることになる。何故なら、本当は断りたいのに断れないというのは相手に嘘をついていることになるからだ。そしてこれは同時に自分の心にも嘘をついている。相手に気がないのにもかかわらず関係を続けることは、相手に対して失礼である。つまり、期待をさせておいて最終的に落とすという残酷極まりない行為なのだ。だからこそ一発目で断らなければならない。大切なのは断る勇気だ。
もう一つは、「こんな自分に好意をもってくれる人なんてほとんどいない」と思い込んでいることだ。つまり、断ることにある種のもったいなさを感じてしまっている。おそらく相談者は自分に自信がないのであろう。しかし考えてほしい。好きでもない相手に迎合し、自分を押し殺すことは更なる自信の喪失を意味する。このまま断らない選択肢を取っていくと、やがて自分に迷い、生きている心地がしなくなる。早急に断れ。断ることでむしろ自信を保つことができる。
マッチングアプリの使い方講座
マッチングアプリの原則はこれだ。
「彼氏を作ることを目的にしてはならない」
「いやそもそもマッチングアプリは恋人を作るためのアプリだろ」と思われるかもしれないが、僕はそこで彼氏を作ることが悪いと言っているのではない。あくまでも彼氏を作ることを目的として設定するとよくないと言っているのだ。理由は大きく分けて二つある。
一つは、彼氏ができなかった時に何も残らないから。もう一つは、マッチングアプリにいい男なんてほとんどいないから。いい男であればわざわざマッチングアプリを使用する必要がない。僕自身も実際にいろいろな人に聞いて調査をしたことがあるが、やはり魅力的な男は少ないという話だった。ただ伝説のポケモンに遭遇する確率くらいでは存在している、と思う。
彼氏を作ることを目的にしてはならないのであれば何を目的にすればいいのか。大きく分けて2つ。コミュニケーションの仕方を学ぶこと、男性を知ることだ。
一つ目のコミュニケーションの仕方を学ぶ、ということであるが、僕としてはマッチングアプリほど最適な場所はないと考える。なぜなら、そこで上手くいかなかったとしても自分の生活に支障がないからだ。
例えば、職場の人と恋愛が上手くいかなかったら気まずくなる。これは多くの人が経験したことがあるだろう。しかし、マッチングアプリはそういった心配がない。今回の相談者のように偽名を使うことだってできる。だから、男性とのコミュニケーションの練習だと思って活用すればいい。具体的には、会話の中で相手の話を引き出したり自己開示したりすること、適切な断り方の練習などだ。これは実践を積まないとなかなかできることではない。特に適切な断り方を体得することが相談者の場合必要である。
二つ目の男性を知ることについて述べる。恋愛が上手くいかない人は男という生き物について知らなすぎる。男性と女性を明確に区別することはできないが、それでも男性特有の考え方や性質というものは少なからず存在するのだ。例えば、マッチングアプリを使う目的である。これはTinderなどに象徴されているが、性行為をすることを目的に使用している男性が多い。反対に性行為をすることを目的にマッチングアプリを使用している女性は少ない。まずはこの目的の不一致に気付くことができないと話にならない。つまり、マッチングアプリ上でのメッセージのやり取りで、相手の目的を知る必要がある。しかし、ここで注意しなければならないのが、男性は性行為を目的としていることを巧みに隠そうとする。これを前提にしておかなければ痛い目にある。
ただ、こういったことをいとも簡単に見抜ける女性は実際に存在する。彼女らは文面を見て相手の誠実性を読み取ることができる。なぜ彼女らはそういったことができるのか。それは小さな違和感に気付く能力が長けているのである。これは仮説と検証を繰り返さしていく中で醸成されたものであり、分かる人には分かるのだ。文面から匂い立つ下心が。まずはこれに気付けるように意識してメッセージ交換をすることをお勧めする。
そしてメッセージである程度の予測や仮説を立てたら実際に会ってみるとよい。今まで文字情報のみであったが、実際に会うといろいろな情報が目に入ってくる。表情や仕草、話し方など。メッセージのやり取りで判断したこととどれだけ一致しているかどうかをここで検証するといい。この時に自分の予測とのギャップが激しかったらオンライン上での洞察力が足りないことを意味している。やはり、これからの時代は、オンライン上でも相手のパーソナルな部分、或いは本質的な部分を見極める力は必須だと思う。つまり、オンラインとオフラインの往復によって男性を見る目を磨けという話だ。
終わりに
一人の人の相談に3000字ほども使って回答をしてしまった。全く贅沢な話である。しかし皮肉にも僕の言葉が彼女に届くことはない。見知らぬミシルの恋愛相談室というのはそういう空間なのだ。でも、今目の前のあなたのように最後まで読んでくれる人がいる。これが僕の唯一の希望である。最近ありがたいことにこのコラムに感想を貰えることが増えた。そこに光を見出し、僕はこれからも本人に届くことのない文章を書き続ける。最後まで読んでくれてありがとう。